菊理媛尊(くくりひめのみこと)【制作裏話】

菊理媛尊(くくりひめのみこと)【制作裏話】

●ジクレー版画の新作

ジクレー版画の新作としてアップした菊理媛尊(くくりひめのみこと)ですが、この作品は既に一点物の原画としてもアップしている作品のアレンジバージョンになります。

今回は制作に辺り、少し裏話を書かせて頂きます。

 

●リメイク作品

そもそも先にアップした原画の作品の方も、3年年ほど前に描いた絵のアレンジ版です。 

 

3年前、「日本の密教カード」の制作が終わり、本格的に日本の神さま絵の制作を始めようと思っていた頃でした。

そして、個展に合わせて一枚描いて見ようと思い描いたのが「菊理媛尊(くくりひめのみこと)」です。

 

 いざ描いてみると…お顔の造形が決まらない!

仏画を沢山描いて、「仏さまのお顔」を描き慣れていたので、その流れで「神さま」のお顔も直ぐに描けそうに思えたのですが、思うように顔が決まらずに苦戦します。

そしてなんとか仕上げたのですが、表情も硬く、

神さまが全く降りてきてくれていないのを感じました。

あ、これは違うな…と、自分でも感じました。

 

●しばらく離れてみることにする

それ以降、「まだ神さまを描くのには早かった?」という感じ、制作が中断します。

しかし中断と言っても、その間アナログの技術を改めて学び直したり、古事記の講座に通ったりしました。

そして改めて神社でも

「描かせて頂きたいのでよろしくお願いいたします」とご挨拶も忘れずに。

外堀を埋めて行く感じですね。

 

●3年ぶりに描いてみる

そして、このショップをオープンするのに合わせて、

「以前描いた菊理媛尊(くくりひめのみこと)の手直しをして見よう!」

と思い立ちました。

そして、以前描いた絵を思い切り紙やすりで削り落とし、描き直していくと、不思議なことに、自然と思ったようなお顔になっていきます。

「神さまのお顔は描けない!」と悩んで筆が止っていたのに、ブロックが取れた様に、自然と絵が進んでいきました。

 

 ●気負いが取れる

「神さまのお顔だからきちんと描かないと!」

これは仏画の時にもあった気負いで、色々なことをやって、少し遠回りをした結果、自然と腑に落ちる段階に到着していたようです。

ちょうどanemoneの取材の記事で

「畏れ多い」を手放したとき内在神が立ち上がる

とキャッチコピーを付けて頂いたのですが、そんな感じでした。

 

●修正前と後

菊理媛尊(くくりひめのみこと)

さてこれが、修正前と後です

修正前はともかく「固い」ですね(笑)

 

●ジクレー版画バージョンも制作

さて修正後の原画バージョンも、シックなアナログ絵で個人的には好きなのですが、ジクレー版画やオラクルカードにも使用する予定で、アナログ修正版からさらに華やかにしたのがジクレー版画版です。

この作品を描いて

「自分の神さま絵はこれで良い」と思えました。

神さま絵というと、古典的な画風で描く方も多く、それが正統なのだと思いますが、私の場合は仏画もそうではありませんし、「自分らしい神さま」でなければ奥田みきが描く意味はないので、今後も自分の個性を大事に描いていこうと思います。

そんな訳で、この作品はジクレー版画としても発売しましたが、2023年発売予定のオラクルカードにも使用するつもりでいます。

 

●20年ほど前にも古事記の世界にチャレンジ

実は20年ほど前にも個展のテーマとして「神話」を選び、その時にも「日本の神話」として、古事記の世界を色々描いてみました。

ただその時にはまだ西洋物も道半ばだったこともあり、画風もしっくりこなかったため、一度頓挫しています。

それから随分時間が経ちましたが、またこうして古事記の世界と向かい合う事が出来て良かったと思います。

ここからどんな風に発展していくとか、描いていくのも楽しみです。

 

菊理媛尊(くくりひめのみこと)ジクレー版画

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